オケ老人!

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コミカル6燃える2癒し2
荒木源『オケ老人!小学館,2008
荒木源さんの作品感想




バイオリンを弾かなくなってずいぶん経つ数学教師・中島が、梅が岡フィルハーモニーの演奏を聞き楽団への参加を申し込んだら、勘違いで老人ばかりの梅が岡交響楽団に参加することになってしまう話。
間違いに気づいて抜け出そうとするものの、ずるずると引き込まれていく中島が不憫です。平均年齢が80くらいで呼吸器つけるおじいさんや認知症のおばあさんがいたり……。タイトルはボケ老人とかけているんでしょうか。


基本的にいい人たちですが、さすがに中島を嵌めてまで退団を引きとめようとしたところは、引きましたけども。おじいちゃん元気すぎ。
そして中島はぬるくても楽しくやるのがいいのか、厳しいながらも切磋琢磨して技術を磨くのがいいのかと悩みます。難しい問題ではありますよね。
ただ、一番きつかったのは知り合いの中学生・晃一が指導し、格段に進歩した老人たちの演奏を耳にしてしまった場面だと思います。あれは言い訳きかないから厳しいな〜。


楽団の物語かと思いきや、ロシアのスパイも絡んでくるからおかしなことになります。トンでもない珍説を披露するホームズに憧れるおじちゃんの迷走、どうして活躍するのか不思議な大根などイベント盛りだくさん。
反転はあるものの、終盤は色んな出来事が連鎖していき、ゴールに向かって一直線です。最後はそこもあそこも巻き込んでの大団円。
音楽に対する情熱というよりは、群像劇による描写がメインでしたが、これはこれで。舞台や劇にしたら映えるような気がします。


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