モダンタイムス

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コミカル5癒し3燃える2
伊坂幸太郎モダンタイムス (Morning NOVELS)講談社,2008
シリーズ感想
伊坂幸太郎さんの作品感想
仕事から帰ると見知らぬ男から拷問にかけられる拓海の話。モーニングで連載されていた作品です。挿絵も収録した特別版もあります。
犬養首相や安藤兄弟が登場するなど、『魔王』の続編であり、分業化・仕事・部品の一部といったテーマなのかな。なにしろモダンタイムスだし。
また、『チルドレン』の時にも触れられていましたが、『侏儒の言葉の言葉』の引用も多々あります。サンデーで連載中の漫画も登場してたかな。


とぼけた会話と突拍子もないキャラクターはお手の物。「人間だもの」を連発する先輩には妙な親近感が。メールとかで私もよく使いますよ、人間だもの。……もしかして私だけですかね?
軽妙な応酬の中にも、人を熱狂させる音楽と人にしみこんでいく小説の違いや説明されると人の不安は落ち着くといった話題があり面白いです。


ネット上で自作自演で作品を褒めたり、女好きと描写されている井坂好太郎という作家も登場します。またあとがきでは、名前を考えるのが面倒だったと述べていますが、伊坂さんがますます好青年としか思えてこない。
そして、作中作を出すことによる、自分の作品の限界とか表現できない部分の言及もされています。すごい真面目な人やな〜。


得たいの知れなさから危険に思われていた佳代子が、段々かわいらしく思えてくるから不思議。脳がどうにかなってしまった感じさえしますよ。
危険には違いないけれども、終盤は佳代子の魅力で溢れていました。ツンデレというかヤンデレですかね。なんにせよ「不倫はダメですよ、絶対」


この小説が好きな人にお勧めする3
1 ゴールデンスランバー  Amazon2 侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な  Amazon3 青猫の街  Amazon
1、伊坂幸太郎さんの小説『ゴールデンスランバー』逃亡する男を描いた傑作。→感想
2、芥川龍之介さんの読み物『侏儒の言葉文芸的な、余りに文芸的な』吹き出してしまうような楽しさです。→感想
3、涼元悠一さんの小説『青猫の街』時代が違いますが、雰囲気似てます。→感想