ソードアート・オンライン〈1〉アインクラッド

川原礫『ソードアート・オンライン〈1〉アインクラッド (電撃文庫)』アスキーメディアワークス,2009
川原礫さんの作品感想

命をかけたゲーム《ソードアート・オンライン》を舞台に、元の世界に戻るためダンジョンの攻略に励むソロプレイヤー・キリトの物語。
オンラインゲームを題材にした作品自体はそれほど目新しいものではないけれども、魔法の要素を排除し剣士をメインにし、モーションを起こしてソードスキルを発動させるという設定など、なかなかの新感覚が味わえます。

とあるレアアイテムをゲットしたことから、ギルドの副団長として人徳も実力も、そして美貌も兼ね備えたアスナと関わっていくことになります。
このアスナが実にかわいい。ギルドでの立場上の顔と、キリトにときどき見せる子供っぽい仕草のギャップに引き込まれますね。
キリトが人生最大級のミスを犯したときの反応もグットです。いや、あれはキリトが悪いと思うけど、それはそれこれはこれ。……それにしても、現実世界ではどんなことになっちゃうんでしょうね。まったく最近の学生は……。
その後の生活は微笑ましいの一言。釣りイベントは特によかったです。こういうところでも楽しませてくれるから、完璧ですね。

本当に死んでしまうのかという絶妙に肝心な部分をぼかしつつも、ドキドキするんだよね〜。特に七十四層のボスを目の前にしたときの、あの不安感にはぐっとくるものが。
繰り返しになりますが、キリトの過去を絡めるなど王道ではあるんだけれども、色んな含みが残っており大変面白かったです。成り行き任せだけではなく、自分で決断していくキリトの姿が魅力的。広くおすすめです。

この小説が好きな人にお勧めする３

１、川原礫さんの小説『アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還』仮想の世界も絡んでくる物語。→感想
２、十文字青さんの小説『薔薇のマリア〈1〉夢追い女王は永遠に眠れ』アンダーグラウンドに忍び込みお宝をゲットする侵入者稼業の物語。→感想
３、高畑京一郎さんの小説『クリス・クロス』バーチャルゲームを舞台にした物語。