最後の鐘が鳴るとき

最後の鐘が鳴るとき  Amazon
癒し4コミカル3燃える3 壁井ユカコ『渡瀬草一郎『三上延『佐藤ケイ『柴村仁『有沢まみず『鎌池和馬『成田良悟『
最後の鐘が鳴るとき―電撃コラボレーション (電撃文庫)アスキー・メディアワークス,2008


廃校となるMW学園、最後の卒業式の日に起きた話を収録したアンソロです。参加している作家さんの作品は読んでいたので、これまでの作品との比較とかも楽しめました。とりあえず、学園ホロたんに乾杯。


壁井ユカコさんの「ハルカワくんと人体模型」人体模型の少女視点というコミカル設定ですが、遠回りしちゃう女の子と余裕ぶった態度をとる男という構図が壁井さんらしい。例え肉体が滅びようとも、古典的な少女精神は永遠に不滅です。
佐藤ケイさんの「MW学園の崩壊」タイムカプセルの中から少女の死体が出てくる話。その少女と仲のよかった学生4人それぞれの視点で語られていきます。理解できなくて近づきがたい空気が駄々漏れです。佐藤さんの作品の印象が、オタクとか美少女だったので驚きました。でもよくよく考えてみたら、あとがきではオカルト系(?)の話がほとんどですよね。


有沢まみずさんの「NICE GAY」お調子者の矢田と彼に巻き込まれる佐原、そしてナイスガイな会長の伊南の話。びしっと青春してていいなー。先月のアンソロもそうでしたが、変化球に見せかけて直球ど真ん中じゃないですか。
鎌池和馬さんの「謎のその先に」お姉さん的な外見なのに子供っぽい行動をする一条と幼馴染の野原の話。一条さんのアクティブでざっくらばんさが好印象。「92センチがそんなに気になるの?」でハートががっちりキャッチされちゃいました。対する野原も全然興味がないふりをしておきながら、「『ラ』が足りないです『ラ』が!」と叫んでますし……。楽しませてもらいましたー。


成田良悟さんの「卆形式 〜マヨイガハレルヒ〜」人間を迷宮に惑わせて生気を吸収するマヨイガの物語。これまでの作品と関連付けて話は展開していきます。クライマックスの鐘の音が響く場面はよかった〜。本当に綺麗にまとめてくれちゃいました。お見事。