銀月のソルトレージュ

銀月のソルトレージュ  Amazon
ファンタジー4癒し3燃える3
枯野瑛『銀月のソルトレージュ―ひとつめの虚言 (富士見ファンタジア文庫)富士見書房,2006
枯野瑛さんの作品感想

魔女になった姉姫と呪いをかけられた妹姫……語り継がれる過去のお話も絡んでくる物語。かわいいアリスを守るために決闘を受け続け、しかも負けなしの糸目男・リュカが主人公です。KeiKomoriさんの感想を読んで手にとりました。
過去と現代と劇が交錯しつつ話は進んでいくのですが、リュカを剣でぶっさす少女が現れてから激しく転がり始めます。落下しているところへ、現状を教えてあげると言い寄る、抜けているけどどこか憎めない金髪の男・レオネルが登場したりするわけで。


魔法等の設定もいいですが、キャラも思わず惚れてしまうやつらばかり。
お姉さんなのにかなり年下のリュカにも苦笑いされてしまうなど、ちょっぴり可愛いところもあるフィオルが一番お気に入りかな。少年を明るく元気付けてくれるお姉さんに、悪い人がいるわけないですからね。
リュカとラブラブな空気を放っているアリスも、かいぐりかいぐりしたくなる小動物的な魅力があります。いい子なのにちょっと哀しみオーラも感じられたので、迷わず応援していました。終盤は門にされてしまうかと戦々恐々としていたくらいです。
男性陣ではアルト老がいい味出してます。ギャップには不意打ちくらいました。アルト老の小気味よいセリフにより、テンポよく笑わせてもらいましたよ。このじじいはいいじじい。


雰囲気たっぷりのファンタジー世界が広がっていますし、ストーリーも筋が通っています。なによりもキャラクターが好感触。しっかりとした物語が紡がれていますよ。これは気に入りました。
リュカにせよアリスにせよ多くの登場人物が、物語自体は綺麗に締まっているのに、色んな意味で決着がついていないので続きが気になります。シリーズものになっているようなので、ぜひ読んでみたい。


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