ベン・トー―サバの味噌煮290円

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燃える5コミカル3癒し2
アサウラベン・トー―サバの味噌煮290円 (集英社スーパーダッシュ文庫)集英社,2008
アサウラさんの作品感想一覧


deltazuluさんの感想を読んで手に取りました。半額弁当の獲得に闘志を燃やす者たちの物語です。
ハーフプライサー同好会会長・氷結の魔女と呼ばれる兵に、戦場に迷い込んだ主人公の佐藤と白粉という少女が出会うことから幕をあけます。
燃える展開が待っているのですが、まずはところどころ気が抜けていて笑えます。白粉があっち方面なマッチョに興味があったり、佐藤の父親がよこした手紙の『セミって食えるんだぜ?』とかくだらないけど笑っちゃう。
白粉は書いてる小説が暴かれた瞬間がよかった。サイトウの行方とか「一人一発とは限りません!」発言なども気になりますな。
波動球は一〇八式びゃあぁぁうまいぃなどの小ネタもあったし。氷結の魔女の由来は、ついついかっこいい理由を想定していたのでくすり。


さて物語の本質・戦場についてですが、最初は佐藤に共感。なにも知らないのにいきなり豚呼ばわりされたら誰でも怒ると思うんですが……いつの間にか、熱いバトルフィールドに踏み込むのがわくわくして仕方なくなりましたよ。
魔導士の二つ名を持つ金城に導かれるシーンはページを繰る手が早くなりましたね。たかが半額弁当を巡る話なのに、なんだよこの過剰なまでの入れ込みようは! 最高だぜ。
相手のことを思って作りあげた美味なる物を自分の目で確かめ、様々な妨害を潜り抜け手に入れることのできたときの、ただ物を消費するだけでは得られない感動……まあ、これは弁当に限ったことではありませんよね。ごちそうさまでした。


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