新釈 走れメロス 他四篇

新釈 走れメロス 他四篇  Amazon
コミカル5シリアス3燃える2
森見登美彦新釈 走れメロス 他四篇祥伝社,2007
森見登美彦さんの作品感想一覧



森見さんが古典の名作を現代に置き換えて書いた短編集。元の話を知っているとより楽しめるかも知れません。あとがきでは、それぞれの作品に対するテーマが書かれていましたよ。
山月記」すばらしいと思い込んでいる、未完の作品を書き続ける斉藤秀太郎の話。原作は国語の教科書で既読。
虎ではなく森見さんの作品で頻繁にでるものに変わってましたけど、本質は変わらないかな。コミカルタッチなアプローチなのに、なんだかんだであの結末に持っていけるんだからすごいな〜。
藪の中」監督と男女の主役の三人だけで行った映画の撮影を様々な視点で語っていく話。原作のストーリーは映画で知ってました。
映画で見た原作も難解でしたが、この話も解釈しようと考え始めると止まらないような。人の心って推理小説みたいにたった一つの答えたどり着くわけじゃないよね〜。
走れメロス」奇人ばかりの詭弁部の中でも変人な芽野と大学で恐怖政治を行う図書館警察長官、そして人質役を買って出た芹名の話。原作は教科書で既読。
ブリーフ1丁とか変態的過ぎる。道中そうやって無茶苦茶やりつつ、意外にまともなこと言ってたりもして侮れない。いや嘘です侮りまくり。あとができも書かれていましたが、勢いのある話であることに間違いはないですよね。
桜の森の満開の下」明け方の満開の桜に嫌悪感を覚える男が、桜の木の下で女と出合ったことで運命が変わり始める話。原作は名前しか知らないわけで。
不気味なような、なんともいえない気味の悪さが印象に残っています。元の話も読んでみたくなりました。
百物語」劇団の人が百物語を主催し、それに参加することになった男の話。前の話と同じく気味の悪さが……。怖いと思ったり危険な臭いがあるというわけじゃないんだけどね。