さよならピアノソナタ 2

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杉井光さよならピアノソナタ〈2〉 (電撃文庫)メディアワークス,2008
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音楽の評論を書いたりもする高校生・直巳と天才ピアニストでギター弾きのまふまふ……もとい真冬、直巳の幼なじみで武闘派ドラマーの千晶、恋と革命に生きる部長の神楽坂、そんな計四人が所属する民族音楽研究部の話。夏ということで海で合宿を行うことになります。


最初に直巳と真冬の父・エビチリが対面する場面があるのですが、娘との交際は認めんぞーってな具合な話になる部分は面白かったな〜。エビチリの行動が意外にかわいいのですよ。
合宿へ行こうとするなど、軌道に乗り始めたかに見えた民研部ですが、直巳が超鈍感なせいで真冬がバンドを抜け出すなど問題が多発します。直巳は持ち前の鈍感力を生かして、まったく問題を解決できないというか問題を見つけられないし悪化させていくばかり。
そんな中、辛いだろうにバンド名を考えてプリントTシャツ作ったりとかする千晶は健気過ぎて萌えます。知らぬは主人公ばかりなりって感じやな。
また、神楽坂先輩の、余裕ぶっているように見えて実は脆い部分があるとか、王道だけど私の心にぐっとくるな〜。「ふとした隙に夢が醒めないようにね」辺りはドキドキしました。


でもやっぱ一番かわいいのは真冬かな。「……い、家に帰るまでが合宿です」の一言にやられました。
最後は直巳のせいで追い込まれるのが原因とはいえ世話を焼かせてくれますが、手間だからといって嫌いにはなるわけもなく、むしろ余計にかわいがりたくなります。かまわないでと言われれば言われるほどかまいたくなるのは私だけ?


今回の直巳を笑いながら、ときにはイライラしながら眺めていましたが、決して他人事ではないか。自分の伝えたいことが全然伝わらなくて歯がゆい思いすることって、私にも経験がありますし。
恋愛では特にそういうすれ違いが多いような気もします。恋は盲目なんていいますけれども、そんなときこそ言葉が力を発揮するのかも知れません。周りが見えず正常な判断が下せないときこそ、言葉ではっきり伝え相手を正気に戻したいものです。
あるいは、音楽でもそれは可能なのでしょうね。