断章のグリム 6

断章のグリム 7  Amazon
ホラー5ミステリ3鬱2
甲田学人断章のグリム〈6〉赤ずきん〈下〉 (電撃文庫)メディアワークス,2007


赤ずきんの物語完結篇でシリーズ六巻目。普通に「狼と七匹の子やぎ」の物語があるだけで、なぜか不気味に思えてしまうのはどうしてかしらん。
勇路の決断がさらなる悪化を招いていそうなのに、見ていることしか出来ないのがなんとも。暗い気持ちになりがちですが、だから新しく登場した明るい感じの健太郎が珍しかったです。保持者であることからして裏がありそうなのですが、はてさて。
石に関する考察が素晴らしかったな〜。赤ずきんの話の解釈も面白かったです。こういう視点で眺めると、どこまでも赤ずきんだったんだなと思えてきます。マナが勇路に説明するシーンとか、セリフや状況が赤ずきんまんまやん。それがなおさら怖い。


肝心の場面では急に描写が濃くなるから堪らないですよね。異形がおぞましい変形をするときの音なども嫌いですが、私には聴覚的なものとか嗅覚的なホラー描写より、視覚的なやつが一番気味悪くて嫌です。
場面が頭の中で思い浮かんじゃうと、どうしようもなくなってしまうのですよ。マナが目撃してしまう蹂躙場面は、もう最悪でした。鳥肌が立ったという点では、過去の原因が語られそれが反転する場面にゾクッときました。この流れはうますぎる。


可南子の騎士としての覚悟を心配された蒼衣ですが、今後どうなっていくのか気になるところ。「自分のいる場所に悩んでるくせに、そこに私を引き込もうとしないで」なんても言われちゃいましたし。
でも、意識を失っている雪乃からぽろりとこぼれた一言が効いたな〜。蒼衣くんにも奮起してもらいたいところです。


甲田学人さんの作品感想