零崎軋識の人間ノック
西尾維新『零崎軋識の人間ノック (講談社ノベルス)』講談社,2006
戯言シリーズに出てきた零崎一賊にスポットを当てたシリーズ二巻目。書下ろしを含む三話収録されています。前巻よりちょいと昔の話。
「狙撃手襲来」これは一度ファウスト誌上で読んだことありました。釘バットを振り回す軋識と零崎の秘蔵っ子・人識が、仕事をこなしに来たビルで罠にはまり萩原子荻から狙撃されることになります。
あの零崎一賊が、弱点を突かれた攻撃に立ち往生するとはね。玉藻ちゃんも懐かしいです。人識の真面目なようでどこかおかしい性格も楽しいな。まあ、なんにせよ子荻がかわいいことには変わりありません。
「竹取山決戦（前半）（後半）」軋識・双識・人識の三人の零崎を罠にかけようとする子荻がすごい。怖いもの知らずですな。哨戒要員として登場する、ジグザグのお姉さんっぷりも素敵です。
双識の人識の扱いのひどさには泣けてきました。お兄ちゃんだからって……一般人の常識が通用しないのね。双識の常識のなさっぷりがひどい。人識が常識人に見えてきますよ。そこが零崎の魅力でもありますが。双識は、徹底的なまでの隠遁術を駆使し敵を追い詰める闇口濡衣と対戦。
メイド鉄化面ことメイド三姉妹のてる子も登場し軋識と対戦します。てる子の実力の一部を垣間見ることができますよ。てる子さん地味にすごかったんですね。
双識と子荻の邂逅の瞬間は見所。私も目を凝らしてイラストを眺めたりしましたよ。見えませんでしたけど。双識の手にかかれば子荻も萌えキャラでしかないってことか。キュートさは本書の中で随一です。子荻がヤムチャファンなのもツボ。
そしてそして、匂宮出夢が乱入してくるとはね〜。人識のかっこよさもグッドです。戯言シリーズのキャラが色々と登場してきて嬉しい限り。
「請負人伝説」軋識がとあるビルに忍び込み、隠されたデータを盗み出そうとする話。タイトルが示している通り、あのお方が登場します。登場シーンからして派手ですなこの人は。
石凪萌太も出てきます。全力を発揮するわけではないのがちょいと残念ではありますが、次以降に期待しましょう。
人識と出夢の因縁もなかなかです。双識の変態ぶりは言うに及ばず。軋識の迷いなんかも描かれていて面白かった。いやはや、キャラクターの魅力だけで、ここまで読ませられるとはね。さすが西尾さん。
