赤い指 Amazon
ミステリ⑤シリアス③癒し②
東野圭吾赤い指講談社,2006


家族のことを面倒だと思って省みなかった父親が過ごす、最悪の二日間を描いた作品。どこかねじれてしまった息子が殺人事件を起したことをきっかけに、家族の絆が試されます。
母親の息子を思う強い願いによって死体を公園へと隠すことにするんですが、父親の最後の息子孝行がこれかと思うと泣けてきます。一対一で付き合うのさえ大変なのだから、家族を持とうとするのはよっぽど大変なことなんだな。
警察の地道な捜査も出てきますが、この捜査手法を描いてる場面もなかなかに飽きさせません。刑事の背景もあり、抜かりないなという感じを受けます。
平凡な家庭など、この世にひとつもない。」というセリフが印象的。本当に、どこかで起きていてもおかしくない事件だと思いますよ。
父親が息子を守るためにだす秘策はわりと想像の範囲内なのですが、それでこの作品の魅力が落ちるわけではありません。最後のどんでん返しにしてもそうです。それより、こういう問題の先取り意識がすごいなと思う。
突き抜けた面白さをもつ作品ではないけれども、ふと読む手を止めて自分の周りについて考えたくなるような作品でした。
同著者作品感想
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