翼将たちがすご過ぎじゃなバトルxダーク


浅井ラボまどろむように君と―されど罪人は竜と踊る〈7〉 (角川スニーカー文庫)角川書店,2005


ガユスとギギナのコンビがくそったれな仕事をこなしていくシリーズ7巻目。書き下ろし二編を含む五編が収録されています。
黄金と泥の辺」咒式士コンビにデュピュイという男が駆け込みで依頼をしてきます。お金の偉大さを思い知らされる一編。侍であるキクチが追ってとして登場しますが、こいつが飄々としていて楽しい。でも、終盤の二転三転には気がめいる。「しあわせの後ろ姿」久しぶりに会ったガユスとジヴが、過ぎ去った思い出について語るようで語らない話。そんな状態のところに持ち込まれるのが、離婚調停に立ち会って欲しいという依頼。水商売の話も絡んできますが、男と女というやつは一筋縄じゃいきませんね。幸せの後ろ姿が見え始めたらもう走って追いかけるしかないけど、それすらも無理だと無慈悲に知らされちゃうラストは嫌だねまったく。
三本脚の椅子ギギナの家具愛好癖と音楽の才能が存分に発揮される話。案の定ハッピーエンドとはいかないけれど、このシリーズにしては心温まる話でした。珍しいですよね。「優しい哀しいくちびる」エイプリルフールのように嘘をついてもいいとされている<愚者の日>の話。まあガユスのためにあるような日なんですが。ちなみにちょっと過去の話です。ガユスは会う人会う人に嘘をつきまくり、特にジヴには徹底的に嘘ばかり吐いたので、ついに黒ジヴが出現します。このためにジャベイラ姉さんも参戦して、ランゴルキン事務所まで巻き込み屍を増やす作業に入ります。終盤の一ひねりは驚くものではないにしても、まとめ方にキレがあってうまいな〜。
翼の在り処」翼将たちの話。これまで出てこなかった翼将たちも集まります。異常な正義を持つ男とか幼児愛好家とか狂ってるやつとか、本当に変態の集団としか言えません。彼らの実力を見せつつも、翼将の新入りの一人・イェスパーの作った壷が消えた話も関わってきます。それにしても、一巻ではあれだけ恐ろしさを見せていたキュラソーが萌えキャラになっちゃってますよ。そこがいいけど。
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