鷲見ヶ原うぐいすの論証

鷲見ヶ原うぐいすの論証  Amazon
ミステリ5萌え3コミカル2
久住四季鷲見ヶ原うぐいすの論証 (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2009
久住四季さんの作品感想


悪魔と対峙している出だしのシーンで引き込まれました。「悪魔の殺人を論証する」というセリフが切れています。
城翠大学付属高校の2年生・譲が、数学者の霧生博士のもとへ魔術師かどうか確認するために館へと出向き、そこで首無死体を見つけるお話。


霧生博士の館には一癖も二癖もある天才が揃っているので、ミステリでは無味乾燥になりがちな導入部の会話も楽しいです。優秀な頭脳を持った人たちへの、譲が素朴な疑問を尋ねるという形で進んでいきます。
不測の事態に、天才たちのそれぞれの本性が明かされていく部分が特に面白かったなー。探偵さんの粘膜接触とかね。この舵の取り方は大好き。もっと重苦しい、重厚な展開を想像してたからギャップに悶えました。
おどろおどろしい雰囲気で包んでおいて謎を添えつつ、小難しい話題で迷い込ませながらも、証拠集め中の会話も楽しいのが魅力的なのですよ。証拠と反証という反復も、ただの繰り返しではないのでよい感じ。


一番のお気に入りは、うぐいすですね。例え話の中で譲と幸せな生活を送ろうとするうぐいすかわいいようぐいす。「ゆずさん」「ゆずさん」と呼びかける彼女のかわいさと言ったらもう!
……ゆずさんのえっち。動物」って私も言われてみてー。あるいはマウントポジションから本で殴られてみたいよまったくもう。
シリーズ化したら譲はもっと積極的に動くべき。鳴くまで待とうとか言わずに、いい声でなかせてあげてください。でも殺しちゃダメ、絶対。


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