スロー・リーディング その11

・38〜41ページ
まるで家賃を払えなくて追いだされる店子のように、あたしは追い立てられ、そのまま新幹線に乗せられた。
和人に秘密を教えてやると言われて、日曜日に新幹線にまで乗せられて未明の状況が描かれた一文。
和人に付いて行くことが、さも当然のように扱われている比喩です。もちろん、理由が分からない未明からしたら、ちんぷんかんぷんな行動。
未明が和人にいくつか疑問を投げかけていますが、これは読者の疑問と重なります。ただし、和人は未明の質問より駅弁を重視するわけで。
最初は未明に秘密を打ち明けるのだから、恥ずかしくてこのような行動をするのかと邪推しましたがそれはなさそうですね。単純に勝手なやつなんでしょう。もちろん、憎めない程度に。


この辺りは、ストーリーを動かすために必要な段落かな。強いて気になるところといえば、和人が駅弁を重要視する点。今回なら金曜日のお茶会など、大半の橋本さんの作品では料理が大切にされてると思うので。
まあ、未明視点で描かれているので料理についての描写がないのですが、和人の視線だったら何かしら挟み込まれていたのかな〜?