夢の上

夢の上  Amazon
ファンタジー燃える泣ける
多崎礼夢の上〈1〉翠輝晶・蒼輝晶 (C・NOVELSファンタジア)中央公論新社,2010
多崎礼さんの作品感想




激動の時代を生きた人々のそれぞれの夢を追体験できる物語。
最初は地方の領主の娘として過ごすアイナの物語。実直すぎて女性の扱いが苦手で、ほほえましい騎士オープとの生活が始まりますが、二人は呪われた身・影使いとなってしまいます。
生活が一変したとはいえ、「あの詐欺師、やっぱり一発殴って参ります!」などアイナの存在が大きくて影がやわらぎますね。勇敢な女性です。
男らしく・女らしくなどお互いのすれ違いだったり、ひょんなことから救うことになるアライスとの触れ合いを経てのクライマックスは最高でした。
いざ、ともに駆け抜けようぞ!」「お供いたします


次は何事も小器用にこなし世間を渡り歩くアーディンと、熱血果敢で貴族の娘イズガータの物語。
アーディンが握り潰した手紙にはぎゅんとしました。誰も悪くないし、お天道様しか恨みようがないけれど、やるせなさが募るな〜。
戦局的にも政局的にも色々あったのだけれど、それ以上に二人の思いの行方が気になる話でした。
アイナたちが過ごした国の行く末や、「夢売り」と「王」の関係などまだまだ興味は尽きません。語り口のレベルは相変わらず高いですし、ぐいぐい引き込まれるストーリーも魅力的。これは期待のシリーズです。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 煌夜祭  Amazon2 12月のベロニカ  Amazon3 約束の柱、落日の女王  Amazon
1、多崎さんの小説『煌夜祭』個々に語られる話が交差したりして大きな物語になります。→感想
2、貴子潤一郎さんの小説『12月のベロニカ』こちらも重厚なファンタジーです。→感想
3、いわなぎ一葉さんの小説『約束の柱、落日の女王』期待以上に綺麗に着地していた物語。→感想