19―ナインティーン

19―ナインティーン  Amazon
19―ナインティーン (メディアワークス文庫)アスキーメディアワークス,2010
綾崎隼さんの作品感想
紅玉いづきさんの作品感想
柴村仁さんの作品感想
橋本紡さんの作品感想
入間人間さんの作品感想
19歳をテーマにした作品集。最初は時間をループするという入間さんの変化球話から入ります。ギャグっぽい設定ですが、予想外に嫌な感じが漂ってきて、でも童貞のおかげでなんとかなる話ってなんのこっちゃ。
柴村さんの話はなんだか実験的な感じなので、面白いとか楽しいとかの感想は出てこず。
綾崎さんの話は、電車で絡まれてる女の子から金を巻き上げられ、お家騒動に巻き込まれる少年が主人公。ひっくり返しがあり、かっこいいセリフもばら撒かれている綾崎さんの作品だなとよく分かる(といっても一冊しか読んでないけど)物語でした。ぶれませんね〜。
橋本さんの話は、2つの時代を舞台にした現実の様々な壁が立ちふさがる少年少女たちの物語。現実はカオスだけれどシンプルな想いが貴重であり、それを大切に扱うにはたくましくなければならないかもと感じました。


この中で圧巻だったのは紅玉さんの、ヒキコモリな巫女さん漫画をネットにアップする予備校生の話ですね。最初はよくある話かなと高をくくっていたのですが、大変面白かったです。
固有の特定人物が直接関わってこない(読者という形はあれど)1人で解決するタイプの話で、この本の中では珍しいかな。奇をてらわないスマートな構成なのも好印象です。
巫女さん漫画が意外に先が気になるネタですし、漫画を通して主人公の考えとか環境が綺麗に浮かび上がってくるんですよ。分かりやすいです。さすが2Bを使っているだけあって濃い内容でした(違)