4 Girls
柴村仁『4 Girls (メディアワークス文庫)』アスキーメディアワークス,2011
柴村仁さんの作品感想
4つの短編が収録されています。全部女の子視点かと思いきや、そういうわけではありませんでした。
高校生・黒部と意中の女の子・成瀬さんの、学校を抜け出したちょっとだけ非日常な一日を描いた「scratches」
どうってことないけど、なんだか大切に思えてしまうくらいの軽さが好きです。「……泣かないけどな! 男の子だし!」みたいなセリフ回しもツボ。
「Run! Girl,Run!」内気な女の子と外国の男の子が交流する話。タイトル通り量的にも短く、ショートショート的な感じ。
「タカチアカネの巧みなる小細工」奇妙な人形の販売を女の子に頼まれる高校生の話。以前に読んだことありましたね(→感想)
「サブレ」15歳の女の子と煙草を吸うおじさんの、ベランダ越しのやりとりを描いた作品。女の子の冷めた目線もあるため、どこか退廃的な雰囲気が漂っています。
変人の美術部員・由良など他作品のキャラも登場しています。プシュケに近いのはサブレでしょうが、一点をえぐぐ綺麗に切り取ったプシュケに比べると拡散してる印象。重苦しい予感がそこかしこにまかれているからかな。
お気に入りは断然scratchesですね。読みやすくて少しだけ癒される話って私には貴重なのです。振り返ってみると4編とも異なる味わいだ。