約束の柱、落日の女王

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ファンタジー4癒し4恋愛
いわなぎ一葉約束の柱、落日の女王 (富士見ファンタジア文庫)富士見書房,2004
いわなぎ一葉さんの作品感想


真摯に仕えてくれる人物が女性のリーファンしかおらず、わがままな行動が止まらない幼い女王クリムと、自身の才能を活用し手段を選ばずに武勲を立てる騎士カルロが交錯する物語。
トントン拍子に進む国政にまつわる話もワクワクできるのですが、最初は警戒が強く利益の一致のみが繋がりだった二人が、徐々に信頼関係を気づいていく過程が楽しいですね。


そしてカルロが抱える秘密が、大きな壁となって立ちふさがってくるのですが、葛藤の描写が私としては実においしいです。クリムが不安に押し潰されそうになっている、いじらしい姿にはヤキモキしちゃいますし。
カルロがにぶちんなので二人の関係が一歩踏み込んだものになるのは少し後になりますが、自分の心に気づいたときの合理的な計画と感情に揺れる様子は物語の大きな味噌だと思います。
しかし、リーファンが不憫でならないと私なんかは思ってしまいます。外部的要因が後押しとなったように感じで、引っかかってしまうんですよね。
ともあれ、国の行く末と二人の関係の顛末が綺麗にまとまっていておすすめです。感想を書いているときに、これがシリーズものになっていることに気づきました。どんな風につながりがあるのか期待です。


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