乱反射

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鬱6ミステリ2癒し2
貫井徳郎乱反射朝日新聞出版,2009
貫井徳郎さんの作品感想




ピントのずれた善意で街路樹の伐採に反対する女性、やる気のない公務員、傲慢な考えに満ちた老人などの小さな行動が、結果的に大きなものとして跳ね返ってくる話。
ことの起こりからして覚悟はしていましたが、低姿勢の相手に強く出るだけの人も結構出てくるので、腹の中がイライラしっぱなし。
途中で出てくる大学生の話はちょっと明るいかなと思ったもののダメで、八方塞な状況を家族を守るために打開しようと決断した話でスカっとしましたが、その後の展開にボロボロになりました。


気分的にはこういうトコトン最低な話を読むのが今の時期は案外よかったかも。とはいえ、読んでる最中で「じじい死ね!」と思ってしまったのも仕方の無いことかと。嫌なことはすぐ忘れますが、沸点は低い私なのです。
終盤の展開ですっきりするようなしないようなですが、気持ちの整理をつけるには必要な文章だと思います。
人は存在しているだけで、他人に影響を与えてしまうものなことは避けられないこと。それならいい影響が及ぶように周囲を確認し、自分の見据えた方へ影響を与えたいな……無難な感想になってしまいますね。


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