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ミステリ5癒し3泣ける2
東野圭吾新参者講談社,2009
シリーズ感想
東野圭吾さんの作品感想


女性が殺された事件の捜査にあたる刑事・加賀が、ふらりふらりと町の人たちと触れ合い、ちっちゃな謎を解き明かしていく物語。細かい謎をつつくんですが、うまい具合に全てはまっていくのが心地よいです。
殺人と言うインパクトの大きい謎そのものよりも、加賀が出会う人物の話が気になって仕方なくなります。事件をスキャンダラスに扱う人がほとんどいないってことも大きいのでしょう。
9章で成り立っているのですが各話がリンクしており、思わぬ伏線に涙することもありました。そして、中盤からは呆気にとられる被害者の家族や行動を悔やむ友人など、身近な人物に焦点が当たっていきます。


洋菓子屋さんの店員の話では、明かされた謎にぞくっときてうるっときちゃいましたよ。また、序盤では影は薄かった被害者の輪郭がはっきりしてくるにつれて、被害者の心情を想像するようになりました。
うまい具合に話がはまっていきますし、各話のやりとりもベタですが憎めません。安心してこの作り話に没頭することができます。この安定感は本当にすばらしいな。とても満足した時を過ごせました。