断章のグリム 12

断章のグリム 12  Amazon
ホラー7鬱3 <ピックアップ8>
甲田学人断章のグリム〈12〉しあわせな王子〈上〉 (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2010
シリーズ感想
甲田学人さんの作品感想
これまで影で活躍していた葬儀屋さんの秘密に接近するシリーズ12巻目。設定としては分かっていましたが、葬儀屋さんとコンビを組む可南子さんがどういう存在なのかを、具体的に描写されるとぐったり。
泡禍に巻き込まれた少女と、彼女の処分場面を見てしまった少年が蒼衣たちから逃走を図ります。まあ普通の視点で見たら、蒼衣たちの行動は怪しすぎるから疑われるのも仕方ないか。湯気とか描写しないでー。
少女は色んな意味で今回の「肝」ですね。特に蘇る死人が描かれている辺りは、ホラー映画の一場面のようでした……意中の女の子が、一場面だけで終わってしまう小道具の死体のように扱われていたら、そりゃ狂うよ。


蒼衣のトラウマに関わる少女・葉耶との会話の回想も描かれています。スプラッタ満載の他のシーンに比べると穏やかなんだけど、思考がかみ合わない気味の悪さがあるのは一緒です。
蒼衣と葉耶の関係が、逃走する少年と少女の構図に薄く重なっているのが嫌らしいです。積み重ねられたものが下巻でどう崩されるか見ものです。