ROOM NO.1301 #10 管理人はシステマティック?

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癒し4恋愛4コミカル2
新井輝ROOM NO.1301 #10 管理人はシステマティック? (富士見ミステリー文庫)富士見書房,2008
シリーズ感想
新井輝さんの作品感想
恋愛感情の扱いに一般とズレがありますよね。章タイトルの「彼はシュートに恋してる」でも、熱中してることを恋してると言い換えるのは一般的な言い回しとしても存在すると思うけど、なんか違和感があります。
むしろ、恋に落ちているはずの彼氏彼女の関係が夢中とは程遠く、落ち着いているという不思議なシリーズ10巻目。本音を話す相手の一番は恋人かと思うのですが、むしろそうじゃない人、ルームメイトなどが多かったりも。
恋人は好きな物が一緒の人がいいけど、結婚するなら嫌いな物が一緒の人がいいのよ」のような恋愛の格言がさらりと流されていますが、格言はそれっぽくてもそれとは異なる方向にばかり進んでいるような。
いや、そうでもないか……。このシリーズは色々考えさせられて、そのたびに感触が変わっていくから困ってしまいます。恋愛は生ものですね。


落ち込む日奈のへの、冷たいようでその実誠実に対応している健一を見ていると、なにも恋人だけが特別な関係じゃないと思わされます。
また流輝や波奈さんの態度を見てると、一般的価値観はおいて置き、自身の好きと嫌いを区別すること重視かな。そういう意味では、恋愛には向いてなくても、千夜子を大事にしてる健一の態度は間違ってないのかも。
健一が冴子に、親子関係について自分の心のうちを吐露する終盤のシーンはわりと好きだったので、なおさら引きが気になります。