メグル

メグル  Amazon
癒し7シリアス3
乾ルカメグル東京創元社,2010
乾ルカさんの作品感想




大学でアルバイトを斡旋する奨学係である悠木さんから、半ば強引に依頼される人たちのお話。deltazuluさんの感想を読んで手にとりました。
最初の「ヒカレル」が、亡くなった人が『引く手』にならないよう、遺体に添い寝するバイトという、思いもよらなかった不思議な物語だったので、そんな1話目から酔っちゃったみたいです。
さらに次の物語は病院を舞台にした日常の謎的なお話で、表面的には同じ雰囲気なんだけど、一話目と異なる部分があって奇妙な感覚でした。言葉を並べていると変な感じですが、嫌な印象ではないのです。
さてさて、3話目のしぶる悠木さんから奪い取ったバイトはろくな目に合わなかったわけで。お金に目がくらんだとはいえ、この結果は悲惨すぎる。途中からあまりの不気味さに、ある程度覚悟してたので我慢できましたが。
ありふれたセリフだけれど、「笑いながら食うとさ、どんな飯でも結構うまいんだ」が素敵発言として記憶されました。これは4話目の会話。


悠木さんの過去が各短編を通してチラホラ見かけられるのですが、全体としてとらえどころの無い物語だったなというのが、読了後の素直な気持ち。
逆に、登場人物の容姿は登場時にざっくり説明されるのですが、その文章がわりと引っかかりました。目障りなわけじゃないんだけど、なんでだろう。まとまりとしては癒し系物語にくくられると思うのですが、不思議。
5編収録されており、真ん中を折り返しに合わせ鏡的な物語の配置になっています。なんだかそれも、不思議。不思議なうちに心が洗われます。


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