船に乗れ! (3)

船に乗れ! 3  Amazon
癒し4シリアス3鬱3
藤谷治船に乗れ! (3)』ジャイブ,2009
シリーズ感想
藤谷治さんの作品感想


前回の衝撃から、自身の演奏にも自信をもてなくなり悩みが頭の中をくるくるし始めるシリーズ最終巻。演奏を手っ取り早くお金を稼ぐだけの手段へする葛藤あるいはトップを目指すという重圧が描かれています。
津島を見ていると、伊藤の真摯で真っ直ぐで、でも自分の気持ちが一番優先な行動に、ある意味とても救われます。
文化祭での伊藤、鮎川との共演を通して取り戻したかのように見せつつ、舞台から去る予定を着実に進められます。共演に向けてみんなで頑張る雰囲気は、心が落ち着くのですがそのネジレがどうにも居心地悪いですね。


文化祭での発表で燃え尽きた後も、続くわけで。こういう形で、手に入れることが出来たかもしれないものの存在を描かれると、手に入れさせてあげればよかったのにと思います。
色んな形で喪失がテーマとなっていたように思います。物や人や時間など様々なものが、です。ただ絶対になくならないものは、自分、自分の船なのかも知れません。「誰もいないところで弾く独奏にも、聴衆はいる。