少女怪談
藤野千夜『少女怪談』文藝春秋,2008
藤野千夜さんの作品感想
かわいらしくも怖くもない印象を受ける奇妙なラインの短編集。
「ぺティの行方」勝手に犬を連れ去る少女・みどりの話。かわいらしいイメージとは裏腹に、ゴーイングマイウェイを貫き通しているわけで。
表紙のイラストの印象を見事に裏切られましたよ。最後のページを見るとはっきりしますが、対照的なイメージを描きたかったんでしょう。
「青いスクーター」主人公は問題の原因を知っているであろうに知らないふり。純粋だからこそ、信じ込んでいるからこその嫌らしさ満載です。
「アキちゃんの傘」この話の少女も、問題の核心について知らないふりをしてはいますが、理解はしているようなので、前半二編より納得がいくというか、座り心地がよかったです。
「ミミカの不満」妙に心に引っかかった一文は「ラノベ。なんだか口に入れたら、しゅわーっととけてしまいそうな、ひんやりと冷たくて、おいしそうな言葉だとミミカは思った」です。