ROOM NO.1301〈#9〉シーナはヒロイック!

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癒し4恋愛3コミカル3
新井輝ROOM NO.1301〈#9〉シーナはヒロイック! (富士見ミステリー文庫)富士見書房,2007
シリーズ感想
新井輝さんの作品感想
プロローグを読んでいるだけで、イライラが募り始めるシリーズ9巻目。
物語の中では、道徳的に悪いことをするか、大切な人を泣かせるかを迫られたりも。それこそ愛する人のためなら人を殺せるかみたく、重いテーマのようなものが触れられています。健一は重いと思っていないようですが。


私の中ではちゅうぶらりんだった、千夜子もいいポジションを確立してきたような印象。もう、なくてはならない存在です。大きな感情を込めたやりとりは、ツバメより少なかったので印象がボケてしまってたんですよね。
また、物語に密接に関係があるわけではありませんが、それぞれの知り合いが少しずつ繋がってきました。
名前が出る人物は多くとも、それぞれが交わることが少なかったシリーズだけあって、人の主観を交えた伝聞の姿と実際の人物とのギャップにまつわる話は印象深かったです。
そういう意味でも、シーナ&バケッツをテレビで視聴する場面は面白かった〜。穏やかで平坦な描写なんだけど、涙腺がなぜか刺激されました。みんなが呆然としている場面で、私も。何か特別なものがあったのかな?


主人公の健一だけでなく、このシリーズの登場人物たちは疑問系の言葉を投げかけることが多いなとも、改めて思いました。
これがこのふわふわした雰囲気作りに一役買っているのかも。疑問でやりとりすると、物事の本質がさらりと描きやすいのかも知れませんね。
しかししかし、特別な負の感情は持ちにくい物語なのに、エピローグで佳奈への怒りが頂点に。日奈よくがんばったなーと思うまもなく、驚くのは当然にしても、これはあんまりだ。ちゃんと話を聞けよ。
ここでも疑問系での会話だけれども、相手を理解しようとする質問ではなく、自分の考えを押しつける疑問符ですからね。最後にカチーンときちゃいましたよ。