スロー・リーディング その7
- 作者: 橋本紡,ヤスダスズヒト
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2002/12
- メディア: 文庫
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△「学校が終わったばかりの校舎は騒がしかった」
家での描写が静かなことが強調されていましたが、学校では騒がしいことが描写されています。対比的な関係を意味してるのでしょう。
△「いつもどおりの、おそらく日本中の学校で繰り広げられているであろう、放課後の風景」
学校と家が対比的な風景描写だとすると、家での出来事は日常ではないと捕らえていることが確認できます。
☆「――あたしと視線を合わさないように――真琴ちゃんが言った」「あたしは思わず叫んでいた」
風景描写の後の会話。真琴ちゃんがミハラ君に告白したことを明かす場面。さりげなく言うはずだった目論見がはずれるギャップが面白いです。
また、ミハラ君とカタカナ表記なので未明はあまり知らない人物であることが推測されます。
★「横顔がシド・ヴィシャスに似ているのだそうだ」
未明が知っているミハラ君のプロフィールが明かされるのですが、やはり会ったことのない人物。
シド・ヴィシャスは「セックス・ピストルズの2代目ベーシストで、極度の麻薬中毒者であり21歳で薬物中毒で死亡」とのこと。
真琴ちゃんも女子高生にしてはなかなかコアな趣味してるなと思いましたが、読み返してみれば最初にもクラッシュの名前があったな。
☆「途端、それまで怒っていた真琴ちゃんの顔が”女の子”になった」「でも、それはミハラという見知らぬ男の子を思ってのものなのだ!」「あたしは腹の底から悔しくなり、そのミハラってヤツを呪い殺してやろうかとさえ思った」
真琴ちゃんのことになると途端に野蛮になる未明がいいですね。真琴ちゃんとはテンション上がり、和人とはニュートラルに、毛布おばけとは微妙にダウナー気味といったところでしょうか。