私立!三十三間堂学院〈7〉

私立!三十三間堂学院〈7〉  Amazon
コミカル4癒し4恋愛2
佐藤ケイ私立!三十三間堂学院〈7〉 (電撃文庫)メディアワークス,2008
シリーズ感想
佐藤ケイさんの作品感想
主要メンバーの新たな一面も見えてくる短編集です。表紙イラストはこれまでで一番好みかな。最後に番外編のバレンタインを巡るいつも通りのバカ騒ぎ話と特別企画のキャラクター紹介もついています。
最初は生徒会メンバーによる夏の海でのゲロ話。ウニで中るとか、かずちの能天気振りが如実に表れています。法行争奪戦に素っ気無い冬美や南、東辺りが転んでくるのも楽しそうですが、これ以上の混乱もアレか。
続いて、常に実践を想定し疑問があれば追求するまゆの実直な姿勢が前面に出ている話。剣道についての語りが力を入れて書かれています。
お嬢様として常人ならぬ判断力や振る舞いを見せる花音の姿が描かれる話は、その偉大さに息が詰まります。でも、香菜へのアドバイス時に百合百合な雰囲気を醸し出したことに、自分自身で悶える姿がラブリーでしたね。


お気楽極楽台風娘のかずちが、法行の隠し事を知る話。これが一番印象深い話かな。私の好みでないというのもありましょうが、このところ魅力が大幅に低下していたかずちの株がちょいと上がります。
やはり最大限に魅力が発揮される王道はギャップだと思います。七巻も続いていると、一つの個性だけで走り抜けるのは困難かと。今後かずちの内面や言動に、ほんのわずかな変化があると、私としては嬉しい展開。
また、夏祭りにおける東とのやりとりで見せた南の一面も、いいくすぐりになっています。マイペースという意味では最強だった南が、最弱の東には弱いという関係が面白いです。しっとりとした味わいのお話でした。