世界平和は一家団欒のあとに〈4〉ディア・マイ・リトルリトル・シスター

世界平和は一家団欒のあとに〈4〉ディア・マイ・リトルリトル・シスター  Amazon
コミカル5シリアス3癒し2
橋本和也世界平和は一家団欒のあとに〈4〉ディア・マイ・リトルリトル・シスター (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2008
シリーズ感想
橋本和也さんの作品感想
星弓家の長女で魔法使いの彩美がメインとして出張ってくるシリーズ4巻目。いつもは冷静沈着な魔法使いの彩美の酒癖描写にニヤリ。
ドタバタ忙しい下の兄弟たちに比べて、彩美だけは大人の余裕を漂わせていましたが、そんな彩美が小さくなってしまうのだから面白い。彩美が過去に関わったと思われる、魔女を巡る話と絡み合って展開します。


チビ彩美を巡る争いや、前巻であんなにかっこいい姿を見せていた父への仕打ちに涙が出そう。柚島を母と認識して父さんは誰だ論争を巻き起こすなど、通常では考えられない彩美のパワフルな振る舞いが目立ちます。
ただコミカルに見えるのは表面だけで、2巻の存在で騙されていたけれども、それ以外は結構重たい話を扱っているんですよね。今回も現在と過去がじわじわと交錯する場面は見ていられなかったです。
魔女討伐の4人組を知れば知るほど過去に安住したくなり、しかし真実のためには4人の関係に迫らなければいけないという矛盾。ボタンの掛け違い一つで、壊れてしまう可能性を秘めている一家の団欒を守るのは大変だ。


だからこそ、互いを思いやり合える、囚われの身になった軋人と彩美のやりとりは微笑ましいです。また、いつもは寡黙な姉の直情的な行動の回想シーンもあり、過去・現在で小出しに彩美の内面が掘り出されます。
それだけでなく、今回の彩美は酔っ払っていたり小さくなっていたりで、最初からずっと愛でる対象にしか見えてきませんでした。だからこそ、最後の待ちに待ったいつものスーツ姿の演出には痺れたな〜。