アマデウスの詩、謳え敗者の王

アマデウスの詩、謳え敗者の王―黄昏色の詠使い〈3〉  Amazon
燃える6ファンタジー4
細音啓アマデウスの詩、謳え敗者の王―黄昏色の詠使い〈3〉 (富士見ファンタジア文庫)富士見書房,2007
シリーズ感想
細音啓さんの作品感想
灰色名詠も本格的に動き出し、敗者と夜色名詠の女性の意味深な会話も挟み込まれ、焦らしに焦らされるシリーズ3巻目。
虹色のカインツも所属している超越的な才能の集まり、イ短調のメンバーも登場します。特に今回は頭脳だけでなく、場数を踏んでおり頼りになる存在・サリナが活躍します。素敵にかっこいい人がまた1人増えましたよ。


クルーエルは危機的状況で才能の片鱗を見せてきましたが、今回は平常時に先生方が見ている前で発揮します。火事場のバカ力ではない能力を、第3者の視点で客観的に知ることができ異常さが伝わってきました。
もっとも、能力はともかくクルーエルはクルーエルなのです。親友にも隠しながら、ネイトに付きっ切りでひと夏を過ごしたクルーエルはめんこい娘ですね。最後にちょっとでれてました。
互いに互いを守ろうとしているネイトとクルーエルはほんわかしますし、その周囲を見守る大人たちも安心できる人ばかりなのです。敵の真意も読めず、不安はかなり大きいのですが、それがいいスパイスに思えるくらい。


様々な場所で防衛戦を繰り広げている様子が描かれており、全体的に燃えます。逆に言えば目移りしちゃうのだけれども、焦点が当たっている物もあります。運命そのものに対してなので、これまた漠然としていますが。
研究マニアのサリナとネイトが接触することで、なぜ夜色と名づけたのかという話題も出ました。ネイトにしてもクルーエルにしても、この巻が転調だったのかな。壮大なる姿を見せ始めた物語を綴る、次なる詩が楽しみです。