暗闇にヤギを探して

暗闇にヤギを探して  Amazon
癒し6コミカル4
穂史賀雅也暗闇にヤギを探して (MF文庫J)メディアファクトリー,2006
穂史賀雅也さんの作品感想


高校生の合人が机の中に手を入れると、授業内容を記入したノートがなくなっており、代わりに「おいしかったです」という手紙が入っていたわけで。
犯人のヤギさんといつも着ぐるみを着て生活している幼馴染の風子と合人の物語です。カエルと恋愛話が大好きなお姉さん・楓も登場します。
完璧無敵の生徒会長・千早先輩と、夜の学校で出会う辺りから大きく動きます。ある程度展開は読めていたものの、ここまでのギャップがあるとは。


潤んだ瞳をむけブラウスのボタンをはだけて胸元の曲線を露わにするとか、対応が極端なんですよね。合人との世界の境目を思い出して、慌てて距離をとったりするヒット&アウエー具合も差が激しいのです。
そのため千早先輩のお宅での嬉し恥ずかしなやりとりも、1人で戸惑っている合人が空回りしているような感じ。紙ばかり食べているからではないでしょうが、千早先輩が無機質な印象さえあります。噛み合っていません。
この千早先輩や出だしのインパクトがある風子にしても、設定は突飛だけれども中身はシンプルな構造は、なぜか鍵系のギャルゲーをプレイしてるときの、あのふわふわ感を思い出して懐かしい気持ちになれました。


ヤギと手紙といえば、「読まずに食べた」の歌を思い出しますが、本当にコミュニケーションって大事ですね。互いにどんなに大切に思っていても、伝わらないと永遠に意味のないやりとりを続けることに。
だからこそ、千早先輩が暗闇を抜け出して安心しました。暗闇では食べることしかできなくても、明るい場所なら手紙を読めますからね。


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