デセプション・ポイント〈下〉

デセプション・ポイント〈下〉  Amazon
燃える7ミステリ3
ダン・ブラウンデセプション・ポイント〈下〉 (角川文庫)角川書店,2006
シリーズ感想
ダン・ブラウンさんの作品感想
NASAが発見した地球外生命体の存在を、大統領選の行方と絡めて描くシリーズ下巻。皆が注目する中、大統領の演説と共に幕が明けます。
命の危険に瀕していたレイチェルはもちろん、全てが裏目に出て打ちひしがれるガブリエールの姿は切なかったな。女性陣だけでなく、NROの局長・ピカリングの過去の話が出てくるなど、全員から目が離せなくなります。


どこまで落ちていくのか心配していたガブリエールですが、予想外にたくましい立ち回りを演じ始めるので驚きました。
レイチェルについては、専門の科学者たちが裏付けた証拠の齟齬を見つけて、少しずつ潰していく姿にしびれました。こういう科学的な検討シーンって憧れます。ピースがぱちりぱちりとはまっていく感覚がよいです。
ただ、ガブリエールを支えているのが一つの大きな思いだけなのが不安要素。失敗すればすぐに破滅するような綱渡りな状況ですからね。


終盤はアクションシーンが満載。ラングドンシリーズでもそうだったけれども、悲惨な死に目にあっている人物の客観的なシーンを描いておいてから、視点を転換して死ぬ間際の感覚が描かれている辺りは嫌らしいですね。
最後は「天使と悪魔」を思い出していました。こういうシーンは、男がとぼけて女性が小悪魔的な仕草で誘うのが流行なんでしょうか〜。
宇宙がクローズアップされがちですが、下巻はもう一つの未知なる場所・海も深く関わってきます。映画的なサスペンス要素も抜群ですし、トーランドの葛藤など全てに決着もつけており綺麗にまとまっています。