薔薇のマリア(2) 壊れそうなきみを胸に抱いて

薔薇のマリア(2) 壊れそうなきみを胸に抱いて  Amazon
鬱5バトル3癒し2
十文字青薔薇のマリア〈2〉壊れそうなきみを胸に抱いて (角川スニーカー文庫)角川書店,2005
シリーズ感想
十文字青さんの作品感想
シリーズ2巻目は、マリアローズに付きまとう変態・アジアンが糞ったれなSmCのリーダーに首輪を嵌められるシーンから始まります。
ダンジョン攻略とかそういう話を予想していました。アジアンの後悔が初っ端に詰まっていたので、それだけでお腹がいっぱいになってしまった気分。


マリアが出てくるところでは、甘味を食べて呆けているZOOメンバーが描かれていて少しだけ胸が軽くなりました。あと、前巻でもちょいと出ていたドジっ子コロナは、深く考えずに楽しめるよい清涼剤担当です。
それ以外は明るい雰囲気がなくて寂しい限りなんですけどね。前巻でトマトクンの過去が臭わされてはいたけれども、早速こちらに舵を取るとは思っていなかったので痛い目に遭いました。
アジアンの不可思議な行動に揺れ動くマリアの心ですが、この辺りを想像しだすと重苦しい展開が止まらなくて嫌になりそう。救いはアジアンがまだ希望を捨てていないこと、不安はアジアンが絶望したときのショックです。


悪人を憎んでいるベアトリーチェとの対話を通して、マリア自身も考えさせられるのが主題でしょうか。けたくそな世界だと認識しつつどこかで潔癖なところがあるマリアですからね。付き合うメンバーも素敵さんです。
ただ、SmCの残虐性を強調したいように感じられていたので、出来る限りいい結末を望みつつ、高望みしないよう気をつける不思議な感触でしたよ。
マリアが主人公だと思うのだけれども、アジアンが裏の主人公のように思えます。あとがきで、物語が歩き出したと書かれていたのも印象的。