恋文の技術

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コミカル4癒し3恋愛3
森見登美彦恋文の技術ポプラ社,2009
森見登美彦さんの作品感想




拝啓。もう七年が経ってしまいました。お酒の勢いを借りた人生初の告白が、こんなにも長く続いてしまうなんてオモチロイですね。次の日に会った際の、あの告白はなかったことに発言は消し去りたい記憶です。
靴下を裏返したまま洗濯に出すからモテないんだ、と母上から言われていた私に彼女が出来る日がこようとは、思いもよりませんでした。


常識がない私がこんなにも長い間、密な関係を続けられたのはあなた様の辛抱強さのおかげだと思っております。電話をかけるのが怖いからと、いつもお店の予約を取らせたりして申し訳ない。臆病者でございます。
誕生日プレゼントで手袋の中に指輪を隠して渡しておきながら、寒いからと手袋は自分の物にしてしまったことも。さぞ呆れられたことと思います。
プレゼント購入に満足して、近くのオムライス屋でご飯など考えが足りませんでした。あの頃は若かった……これはつい一ヶ月前のことでしたね。昔のことにして流そうとするのは悪い癖です。反省しております。
クリスマスに部屋へ遊びに行きつつも、料理を作っていた隣でコミケに出品するゲームのスクリプトをガシガシ組んでいたこともありました。あの頃の私を叱ってやりたい。めっ! ……これからもどうぞ見捨てないで下さい。


さて、急にお手紙を書きたくなったのは最近読んだ本の影響でございます。型破りな先輩や「お兄ちゃんには絶望しました」という妹など、個性豊かなキャラクターが織り成す手紙物語です。お時間があればぜひ。 草々
 足を引っ張る相方さん             周囲から浮いている海獺


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1 夜は短し歩けよ乙女  Amazon2 田村はまだか  Amazon3 SOKKI!-人生には役に立たない~  Amazon
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3、秦建日子さんの小説『SOKKI!-人生には役に立たない~』こちらは文字は文字でも速記に関する話。→感想