wonder wonderful 上

wonder wonderful 上  Amazon
ファンタジー4癒し4コミカル2
河上朔『wonder wonderful 上 (レガロシリーズ)イースト・プレス,2008
河上朔さんの作品感想


妹のひなたを追っかけて、ファンタジーな世界にやってきたこかげが、思いも寄らない言葉を投げつけられ戸惑います。
異世界のせいでかみ合わないのかと思いきや、徐々に複雑な王宮の生活が見えてきてという話。deltazuluさんの感想で気になってました。


異世界に急に飛び込むわけじゃなくて、先例としてひなたがいることがいい味になってます。ひなたから聞いていた話とのギャップに苦しむこかげに興味津々。姉と妹という立場の違い、家族の距離感も気になるところ。
感情を抑えることにも慣れてしまっている、こかげの社会人目線がいいですね。怒っていても冷静に眺めている部分もあってくすぐられます。
もちろん、抑えきれないところが一番魅力なんですけども。「二十七の女を舐めんなよ。皮肉くらい、言おうと思えば言えるんだよ。」とかとか。


護衛の3人組を筆頭に突飛なキャラや異世界を切り取る情緒豊かな描写がある感じではなく。小出しに漏れてくるゴシップ的な要素が、この話の最大の魅力だと思いました。話自体についつい引き込まれてしまいます。
また、突飛じゃないというだけで、キャラの魅力がないわけではありません。エキサイトするひなたには、ついつい笑みが浮かんでしまいました。キレてるし、こかげとの関係も含め色々と楽しい方向に転がりそうです。
なにより「さ、される方が好きだから……?」は上巻屈指の名シーンです。この羞恥プレイは効きました。コロコロ表情変わる人がツボだなー。魔性の女の活躍に期待です。読む前の予想をいい意味で裏切られましたよ。


この小説が好きな人にお勧めする3
1 時空のクロスロード ピクニックは終末に  Amazon2 七姫物語  Amazon3 RUN RUN RUN  Amazon
1、鷹見一幸さんの小説「時空のクロス・ロード シリーズ」もう一つの危機的状況の世界へ行ったり来たりする話。
2、高野和さんの小説「七姫物語 シリーズ」少女の視点で描かれる国の話。→シリーズ感想
3、山下卓さんの小説『RUN RUN RUN』擬似姉妹が見知らぬ北へ旅に出かける話。→感想