投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然

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ロバート・J.シラー『投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然ダイヤモンド社,2001
ロバート・J.シラーさんの作品感想


あまり関心をもたれていなかった行動ファイナンス理論などを用いて、現在の株式市場の水準を説得力のある言葉で表現しています。以下羅列。
¥ほんと根拠ないよなと再認識します。長期的な下落はあり得ないと信じて投資しているのが最近の投資家の傾向らしいです。十分な市場のリサーチ結果よりも、メディア報道のほうが好まれ、かつ影響力があり株価を形成しているとのこと。
¥株価と企業収益の表はインパクトあるな〜。ってインパクトで行動していたらこれまでと変わらないのですが。


¥インターネットは重要な技術進歩であるが、既存の企業の株価に影響を与えるのだろうかと疑問を呈しています。高騰を呼ぶようになった原因と考えられるネットの登場ですが、身近にあるだけに存在感が大きくて実力を過大評価してるかも?
¥同じくベビーブームについても。支出が多くなり経済全体にとってプラス要因と考えられており、同じく株高騰の原因の一つのよう。けれども、いつの株式市場に影響を与えるのかを考えているだろうか。既に織り込み済みではないのか。
¥ベビーブーム世代に対する世間の「通念」であり、ベビーブーム世代が与えたとされる影響の「印象」が強すぎる。


¥退屈であった経済欄をマネー欄に変化させた。多く目に触れることで、投資に対して深い知識を得たと刷り込みがありそう。これも株が異常なまでの水準で上がってきた理由。
¥大暴落があっても数年立てば元の水準に回復すると投資家は信じている。ただ逆に近年のように劇的に上がっても、元の水準に落ち込むとは思っていない。
¥いくら理論的に手順を立てて説明しても、他人が多額の利益を稼いでいるという情報以上にインパクトのあるものはない。
¥過去最高を連発するメディア。市場水準が上がってきているのだから、上昇額など変動幅は変わってきているのに考慮しない。


¥未来に対するバラ色の予想図は興味をひくけれども、地味な企業価値の測定などは専門的で難しく退屈で、ほとんどの人は見向きもしない。合理的な行動からは程遠い。
¥ニュースが華々しく伝える出来事に集中してしまい、仮定の出来事に気を払わない。勝手な目安・魔法の数値への思いを語り気を削いでいる。
¥株価について判断を下す場合、アンカーとして有力になるのは直近の株価となる。みながこれを利用しようとするので前日と似たような数値になる。日経平均1万円など注目を集める数値がアンカーの役割を果たすことも。ただ一時的なことが多い。
¥自社株買いのように、「物語」の構築しやすさによる買い。自分の判断を正当化する物語。特に話甲斐のある物語が好まれる。
¥投資家が自信過剰になっている。直感レベルで助長している。再現率を考えない、過去パターンに学ぶ「代表性の経験則」
¥バリュー投資家について。値頃感、割安感で購入株を決定するが値段の基準はどこにあるんだろう。株式市場全体が高騰しているときに、市場から手を引くと言うことはしない。


¥歴史的な統計データをもとに、暴落の心配をあまりしなくなった。落ちても結局はもとの水準に戻ると考えて、仮定の話を排除。
リスクヘッジに対する考え方を変えること。同じ方向に連動しない資産を持たなければヘッジしているとはいえない。
¥ほんとスポーツと似ているな、熱狂の仕方が。いくら前評判がいい選手がいても必ず勝てるわけじゃない。株が上がり続けることがないのと同様に、巨人が勝ち続けるなんてこともないのです。中日がんば!