レンタル・フルムーン〈第1訓〉恋愛は読みものです

瀬那和章『レンタル・フルムーン〈1〉第1訓 恋愛は読みものです (電撃文庫)』アスキーメディアワークス,2009
瀬那和章さんの作品感想

プロローグのサバイバルゲームは超熱いです。真っ赤に染まる戦闘シーンを読んでいると、思わずつばを飲み込んでしまいます。いや、絶対に。
そんなわけで、新太が不思議な霧に誘われて着いた先が、貸本屋の満月堂。店主であるツクモから情報の記録を手伝ってくれと頼まれます。狭い世界で生きてきた二人が鏡合わせのようにして成長していく物語です。

ツクモの言動は抽象的だったり難解だったり二転三転したりとかなりの振り回しっぷり。毎月刊行される月光文庫を制覇している新太と本の話では気が合うかと思いきや、それ以外ではかみ合わない二人なのです。また、彼女についてまわるクルンは涙目が似合うめんこい子。
かわいいんだけれども、失敗ばかりで人見知りが激しい小雪ちゃんは、その残念さ具合がたまらなく良い。自己啓発本を読んでたり、毒舌を囁いたり。産婦人科前での告白とその後の一連の流れは爆笑でした。

ツクモの胸をもんだり尻にしかれたりする新太ですが、男子トイレでの羞恥プレイは厳しいな〜。あと、ツクモと新太が愛を囁きながら服を脱いでいくシーンも悶えました。もっとツクモは慌ててもいいと思う。
あまり眼鏡っ娘が登場しませんが、図書委員の藤崎さんだけ眼鏡です。積極的には物語に関わってこないので、遠くから眺めつつ愛でていたのですが、最後は全てを藤崎様が持っていきました。非常に残念！
誰だか知りませんが、これらのキャラクターに「残念」のキャッチコピーをつけたのがうまいと思いました。もっともっと残念な話が読みたくなりました。

この小説が好きな人にお勧めする３

１、瀬那さんの小説『under―異界ノスタルジア』人の悪意がたっぷりつまった悪夢の話。→感想
２、増子二郎さんの小説「土くれのティターニア　シリーズ」不思議な体験に首をつっこむ少年と少女の話。→シリーズ感想
３、若木民喜さんの漫画「神のみぞ知るセカイ　シリーズ」二次元にしか興味のない少年が三次元と恋をしていく話。