最新 入門の入門 債券のしくみ

最新 入門の入門 債券のしくみ  Amazon  五十嵐秀二『
五十嵐秀二, 高橋栄二『最新 入門の入門 債券のしくみ』日本実業出版社,2006
五十嵐秀二さんの作品感想
高橋栄二さんの作品感想
お金を取り巻く環境を、初歩の初歩から教えてくれます。教科書の基礎知識的なものが詰め込まれている印象。社会科とかで勉強しそうな感じ。以下、羅列。


・債券の魅力は、将来の資金計画が立てられるところ。種類が豊富にあり、使い道がはっきりしているのも特徴。
・タイプ的に近い預金と比べて、預金は元利金の支払いが保障されているが使い道がはっきりしない。債券は原則、預金保険の対象ではないが、使途が分かりやすく利回りで有利なケースが多い。
社債にも色々ある。「電力債」「一般事業債」「銀行社債」……詰め込み始めると切りがなさそうです。


サムライ債とユーロ円債の違い。海外の発行体が、日本国内で発行する円建ての債券がサムライ債。国内外の企業等が、国外の市場で発行する債券をユーロ債。どちらも為替リスクなし。
転換社債とは、社債形式発行で所有者が請求すれば株式に転換可能な社債。新株引受権付社債も一種で大きく普通社債の一種。株式の有利性と債券の確実性を持つ。
・昭和恐慌の影響でデフォルトが増加したため、普通社債の多くは担保付社債となった。
社債の発行方法や市場のしくみ、注文時の項目発行方法なども記載されています。この辺りちょっと斜め読みしましたが……。国債についても、経過利子の扱いなど思っていた以上に複雑な流れで売買されているんですね。


金利の基礎知識。長期金利短期金利、名目金利と実質金利など、金利とはなにかが書かれており、読みやすく興味が湧きました。教科書で勉強したことあるような事柄だからかな。
日本銀行の役割について説明されているところなんて、まさにそんな感じ。ただ私の記憶では、民間銀行への貸し出し金利である公定歩合の操作が印象的だったけど、今はそうじゃないみたい。
公定歩合操作は、心理的なアナウンスメント効果に移ったようです。日銀が市場で債券や手形の売買する、公開市場操作が金融政策手段として重要性を増している。


金利を把握するときにはイールドカーブをイメージする。理論としては、市場の期待を織り込んでいくことの結果である期待説と残存期間が長くなることで流動性が悪くなり、その分のプレミアとであるという説。
・債券相場の変動要因の一覧表も具体的な指標例と合わせてあったので、ちょっと確認するにはよさげ。金利の低下=債権の価格上昇が軸です。
・主要通貨建ての特徴。米ドルは比較的見通しが点てやすく、ユーロはドイツやフランスの影響大。豪ドルは景気動向に敏感でインフレ傾向有利。ニュージーは豪ドルと似通った動き、金利が高くて……現状もそうだっけ?
・為替動向要因は複雑に絡み合っているので、予測は不可能。根本把握とイメージ作成に務めるべし。そういえば、クロス円レートの意味を把握。いまさらかよ、トホホ。ちなみにクロスレートは、当該通貨と米ドルに分けて考えることから。
・外債は長期保有に適している。金利上昇局面では価格変動リスクの少ない短期メイン。ただ、為替リスクのが大きいので要考慮。


・信用リスク・格付けと利回りのバランス。デフォルト率が格付けごとにあったのですが、BB以下はなかなかの率でした。
デリバティブ。ここでもりんごの木。先物とオプションはほぼ一緒の説明だったので、スワップのメモをば。
・一定期間決められたものを交換すること。りんごとみかんを今後三年間交換し続けるなど。オプションのリスク回避やら現在価値の計算やら……再び講義を思い出しました。
・最後に日経平均リンク債の説明。クーポンがリンクするものと償還金がリンクするもの。結構な利率だったのですごいなと思っていたのですが、こんな仕組みだったのね。債権といいつつ元本保証じゃないのが曲者っぽい。