アカイロ/ロマンス―少女の鞘、少女の刃

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鬱4バトル3コミカル3
藤原祐アカイロ/ロマンス―少女の鞘、少女の刃 (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2008
藤原祐さんの作品感想


妾はあとどれくらい、生きられる?」という、枯葉と棺奈のミステリアスでそれ以上に不自然なインパクトのある会話から入り込む物語。KeiKomoriさんの感想(2巻)を読んで手にとりました。
近づきがたいプロローグでしたが、性悪メガネ・景介とクラスメイトのなんだかんだで楽しそうな場面は、心が軽くなり安心できましたよ。
パーフェクトな美少女・秋津や天然ぽよぽよ日崎、姉御な棗、引っ込みがちな灰原と選り取りみどりの学園ライフ。でも、棗が思わせぶりなことを言い始めてからは、ルナティックムーン書いた人だからと気を引き締め……。


が、気を引き締めても無理なものは無理でした。同じヒトガタなのに思考を理解できない、その落ち着かなさが問答無用で叩きつけられます。
化け物らしい化け物ではなく、見分けつかないけど隣の人が実は……が一番嫌悪感を味わえます。景介が黒々とした心境になるのも分かりますよ。脳が目の前の現実を認識するのを拒否したくなるのが自然です。


気味悪い展開で贓物を散々撒き散らしておきながら、突然ラブコメったりも。この辺りはいやらしさも増幅させてるんだけれど。
自分ではどうしようもない状況に追い込まれてから、それを知らされるのも堪ったもんじゃないなと思った。あり得ない選択肢の存在を、解答後に教えられても反省と後悔しか出来ません。
まあ、かわいい女の子が「あ〜ん」とやってきたら食べちゃいたくなりますけどね。例えそれがヒトデの形をした愛くるしい絶望だったとしてもさー。


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