秋期限定栗きんとん事件〈下〉

秋期限定栗きんとん事件〈下〉  Amazon
ミステリ5コミカル3萌え2
米澤穂信秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)東京創元社,2009
シリーズ感想
米澤穂信さんの作品感想
必死に連続放火事件を追う新聞部の瓜野とぼちぼち後をたどってる小鳩くん、小柄な体を活かして隠れつつ二人を追い詰める小佐内さんの物語。
仲丸さんとのランチセットを巡る小鳩くんのやりとりが面白かったです。こんなところで推理が冴えるのかとニヤニヤしていました。ニヤニヤはそんなに続きませんでしたけれどもー。


すれ違いばかりでしたが、小鳩くんと小佐内さんが出会ってからが、やはりこのシリーズの本領発揮でしょう。
瓜野くんが犯人を告げるシーンは圧巻でした。ここまで打ちのめされるとは、夢にも思っていませんでしたよ。名指しされた犯人によって動機も語られましたが、スカッとやられました。
緻密な計画と犯人の魅力に取り付かれましたね。また、甘い栗きんとんと共に交わされる、甘さをまぶした会話は、絶品です。


話題を先読みしてしまい、相手の気分を害してしまう小鳩くんたちを見ていると、もっと気楽に構えればいいのにと思います。ただ、よくよく考えてみると私にも思い当たる節があります。
例えば映画なんかを見ていて、「あっ、この人のこの動作にはこんな意味があるんだろうな」と伏線が分かったり、展開が読めてしまったりする瞬間。さらにはそれを人に教えたくなる瞬間が、あるのです。
多分、私だけでなく他の小市民の方々も。そう思うと二人が身近に感じられ、食べてしまいたくなる位かわいらしいです。ぜひ、お召し上がり下さい。