鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈6〉Blood Party!

鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈6〉Blood Party!  Amazon
癒し5コミカル3萌え2
壁井ユカコ鳥籠荘の今日も眠たい住人たち〈6〉Blood Party! (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2009
シリーズ感想
壁井ユカコさんの作品感想
山田パパの猫の着ぐるみには慣れてきたけれども、華乃子との接し方に悩む加地くんなど、名前の呼び方一つで悶々とする二人が愛らしくてつい見守っていたくなりますよね。山田家を始め、奇妙な住人ばかりが集まっていた鳥籠荘の物語も最終巻です。
最初の話は山田家の話。小学校も高学年になったということで、あんまり知識はないものの、なんとなく男女の間に壁が出来てしまう微妙なお年頃。その辺りも絡めて進んでいきます。男子って本当にバカだな。
加地くんは多少大人びた視点に立っているものの、華乃子と二人っきりという状況を意識せずにはいられないとかいいな〜。そして、加地くんが核心をつく質問を華乃子にしたときの、罪悪感と嗜虐心が混ざり合った気持ちには、何やら私も思い当たるものが。
質問の回答は一度はぐらかされたものの、「さっき、エッチなこと考えたでしょ」にはギクリ。思わせぶりな華乃子の態度にはドキリ。猫勢ぞろいなシーンにはギクリ。……加地くんに共感しつつ読んでると、心臓に悪くて仕方ないですよ。


ジョナサンのその後の話もあり、病院暮らしのジョナサンと少女が交流する風景があります。もちろん、ジョナサンの生活は順風満帆に行っていたわけじゃないけれども、それでも悪くはない話かなと。少なくとも、ジョナサンに出会えた少女が幸せになれたという点で。
エピローグの最後は、ロンドンから戻ってきたキズナを待っていた、変わり果てたホテルと奇妙な入居希望者の話で締めくくられています。まあ、こうでなくっちゃね。


エピローグの他に、美術の教師の浅井や女子高生のキズナ、保健室の先生の由起などなど、パラレルな世界での鳥籠荘の面々を描いた番外編も収録されています。3年前から、ティーンエイジャーの多くが吸血鬼になってしまった世界が舞台。
自分が吸血鬼だと信じているキズナは、世界の変化を好意的に受け入れていたものの、みんなの症状とは違う部分もありその謎を追っていくことに。
吸血鬼疑惑のある浅井先生にキズナは近づいていくのですが、「女子高生ナメんな!」や「浅井先生はだめーっ! 浅井先生は、わたしがいつか押し倒す!」など、素敵に勝気でよいですね。
相変わらず浅井の前では意地を張ってしまい、それを撤回することができずにオロオロしてしまうのは変わらない部分でしょうか。と言いますか、不死身の男と、ちょっと不思議な力を持った面倒な女の子という壁井さんの黄金パターンですね。3年前の仕返しとかムフムフしてしまったじゃないか。


様々な種類の話を読むことが出来るのが魅力的なシリーズでした。面白かったです。次の作品も楽しみにしています。