ほうかご百物語 4

ほうかご百物語 4  Amazon
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峰守ひろかずほうかご百物語〈4〉 (電撃文庫)アスキーメディアワークス,2009
シリーズ感想
峰守ひろかずさんの作品感想
常識人なようでいて暴走気味な主人公・白塚とピュア可愛いイタチさんが、学校を舞台に妖怪に関わる問題を解決していくシリーズ4巻目。涙目で耐えている少女・まどかのイラストに心奪われたり、バレンタインの話があったり強力な妖怪・ニヤケが跋扈していたり。
犬神と意思疎通を図るなど、白塚が色々と常識破りなところが魅力的です。ありそうでなかったような主人公像。捻りのない真っ直ぐな言葉が飛んでくるわけで、バカはバカだけれどバカ正直だから温かい目で見守れます。


今回は多々羅木という兄妹が、放課後の妖怪退治を邪魔してきます。兄妹の真意がまったく分からないし、行動も無茶苦茶なのでいい印象は持ちません。あんまり好きじゃないですね、特に兄は。妹はかわいいので許します。かわいいは正義です。言葉を交わすと特によく分かりますにゃ。
部活メンバーたちも御崎先輩を初めいい感じ。妖怪と遭遇したときでも、冗談を交えたその解説に落ち着くことができますよ。甘酒製造には笑わさせてもらいました。
そんな妖怪薀蓄担当で、気の向くままに暮らしている御崎先輩の彼氏をしている江戸橋さんに妙な親近感が。苦労人やな〜。そして、一年生のときの二人の関係がすごく気になります。
とぼけた性格が持ち味の、不思議な魅力で引き付けてやまない天狗さんも素敵に登場。人気があるからかも知れませんが、「男ですけどそれが何か」は秀逸あるいは悪ノリし過ぎですよ〜。
天狗さんというか、奈良山と何かありそうな雰囲気の副会長・新井さんも素敵さんだと思います。美人で気配りもできるなんて言うことなしですよね。だから、ちゃんと渡せたようで安心しました。本当に些細な部分が多いのだけれど、巻を通して続いている話もあって、やっぱその部分も気になるし楽しいところなのですよ。


もっとも、一番素敵なカップルは白塚とイタチさんなんですが。4巻目にしてようやく、二人の思いのすれ違いが描かれたりもします。まあそこはこのシリーズなので、重苦しい展開になり過ぎない安心設計ですが。
白塚の「よくないよ! イタチさん、いっつも損しすぎなんだってば!」とイタチさんの「これからも作ろうね、思い出」は印象深いです。
そうそう、私はイタチさんの体操服の描写辺りでキタのですが、白塚がこれだけ最高級の賛辞を惜しげもなく並べていると、実際にそう思えてくるから困る。最初はギャグとしか思えなかった記憶が飛んだりする描写も、もう今ではすっかり病み付きです。
白塚とシンクロしていって、どんどんどんどん好きになっていっちゃいますね。「イタチさんの後ろ髪は、ずっと首筋をくすぐっている」に悶えました。ストレッチ最高。もう二人ともがかわいくて仕方ないですね〜。
最後の遠慮がなくなった白塚の行動はグッジョブです。もっとやれー。また、ラストの一行は私の言いたいことも全部代弁してもらえてる感じ。ほんと好きです大好きです。