七つの海を照らす星

七つの海を照らす星  Amazon
ミステリ7癒し3
七河迦南七つの海を照らす星東京創元社,2008
七河迦南さんの作品感想


田舎にある児童養護施設「七海学園」で働き始めた保育士・北沢が接触する、いくつかの不思議な話を通して展開されていく物語。探偵役の児童相談所の海王さんとコンビを組んで謎を解き明かしていきます。日常の謎系譜であり、第18回鮎川哲也賞受賞作。
彼女たちが関わる不思議な話は、亡くなった女の子が再び表れる話や消えてしまった幻の女の子、暗闇で聞こる囁く声などなど。戸籍に関わる話や児童福祉法に絡んだトリックなどもあり、その辺りでもなかなか読み応えがあります。戸籍の話なんかはほとんど気にしたことなかったから、知らない世界を知ることができてよかったかな。


各話それぞれ色んな子どもたちが登場します。また、学校と言う舞台であり子どもに焦点を当てているので、なんとなく懐かしくなるような風景も存在しています。回文の部分も力入ってるなという印象。
海王さんが登場すると安心しますね。謎のモヤモヤが解消されるだけでなく、子どもに刺さっている棘も抜いてくれるから。「本当にいい子なんですよねえ」を聞くと、どんな暗闇の中でも星はあるんだよ、と教えてくれます。
それにしても、星のひとつひとつは見つけられても、それを星座として見る大きな視点が私にはなかったなー。身構えていても、慣れていないと星を見つけるのって大変です。じっくりと腰をすえて読みたい本ですね。


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