付喪堂骨董店 2 ―“不思議”取り扱います

付喪堂骨董店〈2〉―“不思議”取り扱います  Amazon
シリアス4萌え3鬱3
御堂彰彦付喪堂骨董店〈2〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)メディアワークス,2007
シリーズ感想
御堂彰彦さんの作品感想
不思議な力を宿したアンティークを巡るシリーズ2巻目。些細な音でも気になる作曲家の男とどじっ娘メイドさんの話「静寂」自分の分身ができた男の子の話「自分」相手の目を覗き込んで記憶を共有する占い師の話「死目」時間の経過を写し取るカメラの話「化粧」の4話が収録されています。


基本は死を知ってしまった刻也が、運命を変えようとする話です。でも、全てがうまくいくわけではないのでちょっと凹むのですよ。「静寂」で出てくる手掛かりの線とか、全てを知った男の後悔とか、どうしようもないんだけどどうにかしたくなります。 
自分」コピーを生み出すアンティークの使用者を刻也が追うのですが、ストーリー展開としてはこの話が一番面白かったかな。限定された能力を使ってうまく構成されてました。また、「死目」では舞に秘められた過去があることを臭わされていますね。この辺りの伏線が今後どうなっていくのかも、気になるところです。
伏線をうまく張っていて驚かされる作品が多いのですが、一番騙されたと思ったのが最後の「化粧」です。タイトルとシリーズの傾向から絶対に死化粧が関係してくると思っていたのに、大きく裏切られましたよ。……まあ自爆なのですが。展開のリピートが続くのですが、これはニヤニヤを加速させてくれますね〜。


もっとも、舞のかわいさは最後の話に限ったものじゃないのです。色んな格好で登場してくれますしー。メイドさん風のエプロンを着けてみたり、制服姿を披露してくれたり、黒猫のコスプレ姿で接客したり。黒猫のモチーフが大好きなんですが、この占いの館が流行らないなんてどう考えてもおかしいじゃないですか。
外見だけじゃなくて態度も愛くるしいです。接客術向上のためにみょうちきりんな本を読む方向性の狂いっぷりや「これでい……別にいらないわ」と発言しちゃったり、逆に「いいえ。違います」と答えるまでの葛藤などなど。


どじっ娘をミステリ的に解釈したりしてるし、舞の無表情っ娘属性にもなにかしらの意味が出てくるのかしらん。なんにせよ骨董品並に貴重で価値のあるかわいい舞を、多くの人にじっくりと鑑賞していただきたいものです。