壷中の天

壷中の天 鬼籍通覧  Amazon
ホラー4ミステリ3コミカル3
椹野道流壺中の天 鬼籍通覧(3) (講談社X文庫ホワイトハート)講談社,2005
シリーズ感想
椹野道流さんの作品感想
法医学とミステリをテーマにしたシリーズ3巻目。ダンスダンスレボリューションの名前を見つけて懐かしくなりました。下手なくせにそれに熱中している崇の姿が、ありありと思い浮かべられましたよ。
やっぱり登場人物たちが面白いですね。自分も同じことしていたくせに、立場が変わったことで学生の無神経な振る舞いが気に障ってしまう崇とか、嫌にならない程度に人間臭くていいです。死体のこと話題にしつつ飯を食う人たちがあっぱれ。


今回は死体消失やメーリングリストに放り込まれた暗号、山から聞こえてくるラップ音などが謎として提示されます。カメラ関係の話とか聞いてると、変な予感がしてたまりませんでした。……またこれは一筋縄ではいかないぞと。そこがこのシリーズの醍醐味なんですけども。
どう考えてもつながりがないのに繋がっていく辺りは、もうそれだけで気味が悪くなってきます。自供シーンは理論的なようでまったく理論的じゃないところが怖かったし、最後の解剖シーンはもう呆然としてしまいました。その後じわじわときて、シリーズで一番ぞっとしましたよ。


途中まで上手くいってたのに、何でここにきて、何でこうなんの!? って思うのは変ですかね?」という崇のつぶやきにものすごく共感しました。でも、ミチルさんが「入り組んだトリックの事件なんて現実にはあり得ない」とぼやいていたのを聞くと、それはそれで納得してしまいました。ミチルさんのぼやき語りが聞けてよかったです。