ゼペットの娘たち 2

ゼペットの娘たち 2  Amazon
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三木遊泳『ゼペットの娘たち〈2〉 (電撃文庫)アスキー・メディアワークス,2008
シリーズ感想
三木遊泳さんの作品感想
仕事はきちっとこなすけど逆に没頭しすぎていて心配になるサツキと、彼が作った機鋼人形であるハリケーンとトルネードたちの愉快な生活を描いたシリーズ2巻目。1巻も面白かったけれど、今回はさらによかったな〜。イラストも雰囲気にばっちり合っています。
周りの人間だけでなく機鋼人形にも心配され、さらには呆れられているサツキは本当にレベル高いです。幼い少女・グロリア相手にむきになるサツキには落ち着けと言いたくなりますし、グロリアには遊んでくれたと解釈されているから、サツキの大人力はグロリア以下ですよね。
グロリア同様、ストリームという人魚型機鋼人形も新たに登場します。サツキは改修を頼まれるのですが……変態だから変態行為に何も思っていないけれども、変態だよな。トルネードの代わりに揶揄しときますね。
強気なようで臆病なグロリアもかわいかったですが、美人で一途なストリームも好感持てます。特にストリームが立っていることを実感したシーンは大好きです。こんな美人さんと一緒に居られるレグは幸せものだな〜。


さてさて、トルネードはサツキに喜んでもらおうと色々奮闘するのですが、料理を選択したのはベタだけど破壊力高い。ダイイングメッセージまで飛び出します。卵に関する真実だとか空を飛ぶんだよとか、くだらないことでほらを吹くハリケーンとのコンビは相変わらず微笑ましいですし。
また、コミカルさだけでなく「じゃぁどういうものなんですか、家族って」みたいなトルネードのストレートな質問に、サツキが向き合おうとするの姿も描かれていて安心しました。


ミラーとエレガンテも登場するのですが、二人はいつの間にそんな仲になっていたんだろう。二人が寄り添って帰るシーンのコーヒーの描写なんかは、なにやら意味深です。こういう何気ない風景に意味を持たせようとする文章けっこう出てきますよね。
すごく幸せそうだし不幸になるなんて想像も出来ないんだけど、ちょっとしたわだかまりが残る結末ですよ。主人公が成長することで、世界が広がることで不安になるなんて珍しいかも。だからこそ、自信を持っておすすめできるシリーズです。