ダブルブリッド Drop Blood

ダブルブリッドDrop Blood  Amazon
癒し6コミカル4
中村恵里加ダブルブリッド―Drop Blood (電撃文庫)アスキー・メディアワークス,2008
シリーズ感想
中村恵里加さんの作品感想
アヤカシと人が混じって生きている世界を描いたシリーズ、完結後の短編集。視点がそれぞれ違う7つの話が収録されています。
Dead or Alive」飛び降り自殺しようとしている男が、偶然出会ってしまった大田のよく分からない理論に巻き込まれていく話。最初から好みなお話だったな〜。コメディっぽく煙にまかれているようでいて、ちょっと悪くない話です。
Momentary Happiness」殺伐とした物語に放り込まれていたのでこれまで気づかなかった面白キャラ・安藤さんと虎司が焼肉を食べる話。葱タン塩というチョイスもはずしてないなって感じです。ささやかながらも虎司の優しさに触れることができてよかったなー。なんつー素敵なカップルなんだ。
汝の隣人は燃えているか」帆村が住む部屋のお隣さんの話。全然名前を覚えてくれない帆村の話をしつつも、微妙に脱線していく会話が楽しかったです。前の二編もこれも、ラストにイラストが入ってくるのですが、これがまたどれもよいのですよね〜。


こどもらしくないこどものはなし」「こどもらしくないこどもにすくわれたはなし」優樹が小学生だった頃の話。タイトルで連呼されているように、まったく子供らしくないのがある意味、優樹らしいです。男の子が優樹に似たため息をつく場面や女の子が桜散るのを眺めている場面が印象的。
こどもらしくないこどもとぶこつなおにのはなし」優樹と飯田が鰌を食べる話。浦木と飯田が楽しいやつとか思える日がくるとは、夢にも思いませんでしたよ。ご飯を食べてるシーンってのは、和みますねほんと。
続いた世界のある顛末」全てが終わったあとの話。太一朗と未知がメインです。それぞれがけじめをつけるのですが、私もこの物語についてすごく収まりがよくなりました。


このシリーズに私が惚れたのは、アヤカシと人間の些細なずれたやりとりが魅力的だったからかも知れません。この本を読み終わって、そんな思いが浮かんできました。「片倉さん」と呼んでいた頃の太一郎が、ふと懐かしくなりました。