ふにゅう

ふにゅう  Amazon
癒し7コミカル3
川端裕人ふにゅう』新潮社,2004
川端裕人さんの作品感想


お父さんと子供の関わりを描いた短編集です。書下ろしを含む5個の話が収録されています。
おっぱい」おっぱいにこだわりを持っている洋介が、妻の麻衣子が授乳しているのを眺めていて嫉妬する話。ふにゅうって語感がかわいらしいなと思って手にとったわけですが、ふにゅうってそのふにゅうですかいと思わずつっこみを。
脱力系のタイトルではありますが、どことなく近づきがたい雰囲気があります。もちろん、神聖な雰囲気だからではなく、どこまで本気にしていいのか判断しかねる未知の領域という意味で。


デリパニ」を読み出産って大変だなと思った。多分テレビなどで出産シーンを見たことあったと思うのですが、久しぶりだったので血の気が引きましたね。私も血には弱いのです。「ゆすきとくんとゆすあしちゃん」はママと結婚するといって憚らない息子・悠斗を見守る匡志の話。芸術家肌の悠斗の発言が面白かったし、話のまとめ方も好みです。
ギンヤンマ、再配置プロジェクト」母親が一ヶ月間の出張に出ている間に、父と息子と娘の三人でヤゴを飼うことにする話。娘・めいの公園のコアラの話は心が温まります。また、トンボのめがねの決めポーズを得意げにするめいちゃんがありありと想像できてニヤニヤしちゃったよ。


子育てと社会への関わり方について考えてしまいます。この本に出てくる子供もそうですが、他人の子供を眺めてるのはかわいいなと思うだけでいいのだけれど、自分が育てるとなると大変なこともいっぱいあるようで。その辺りの苦労はたぶん、どれだけ想像しても足りない気さえします。
また、役割分担も難しそうです。子育ての労力を夫婦二人で分け合う方法を探すのが特に。この辺りは読んでいて、『おいピータン!!』のたいやきの分け方の話を思い出してました。分け合うにしても、完璧に2等分にするのが正解ってわけじゃないですからね。


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1 ガール  Amazon2 ハルさん  Amazon3 おいピータン!!  Amazon
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