たま◇なま 生物は、何故死なない?

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ギャグ6コミカル2燃える2
冬樹忍たま◇なま ~生物は、何故死なない?~ (HJ文庫)ホビージャパン,2007
冬樹忍さんの作品感想
突然やってきた宇宙人の紅に体を改造されてしまった透の話。かみ合わない会話が唐突に序盤から始まっています。trivialさんの感想を読んで手にとりました。


透の家族背景だとか影っぽい部分がチラチラ出てくるので、胸苦しくなる話かなと思いましたが、とりあえずは二人の会話が面白いのでノー問題。紅の直截的な物言いがどことなく面白くて、つい優しく突っ込みを入れたくなってしまうのですよ。
性的な発言でも同じノリだから、透が無意味にあたふたしているのも楽しいです。二人のコミュニケーションの様子は、外国の人が意味は通じるんだけど妙な日本語をしゃべっているのを聞いてなんとなく心が温まる感じ、に近いかな。
軽い調子のセリフの応酬が続くのですが、「無理言うな」「無理なのか」「…………」とか、あるいは「ついたぞ」「どこへだ」「図書館」のような、そこだけ抜き出しても分からない会話の流れが一番のツボ。


透の暗い部分も本格的に描写されたりしますが、灯璃の紅に対するハイテンションぶりで私の中では霧散しました。擬音語ばかりの叫び……ここまでギャップがあると、呆然としつつも強制的に笑みが浮かんでしまいます。
流し読みするだけでなく、この擬音語を一字一句追って心の読み上げてみるとさらに心地よいです。無駄にテンションが上がりますからね。「明日こそハローワーク行けよ。無職」の決め台詞も無駄にかっこよくて燃えます。


最後の会話もかみ合っていないけど、それでもどうにかなるものです。あやふやな部分を持ったままでも生活できるし、意味分からないことがあってもノリでなんとかなるもの。この感想文も抽象的な文章が多いけれども、魅力が少しでも伝わればよいな〜。


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