ラットマン

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ミステリ5鬱3癒し2
道尾秀介ラットマン』光文社,2008
道尾秀介さんの作品感想


高校時代に結成したバンド・Sundownerのメンバーを中心に物語が展開されます。architectさんの感想を読んで手にとりました。


主人公・姫川の過去にきな臭いものがあるなど、序盤の展開からなんか重たいものがあります。そこら中に殺意が渦巻いている感じがしました。そんな中で死体が発見されますが、やっぱりという感じが強かったです。
被害者の過去にしても、宇宙人みたいなウサギにしても、姫川の乾いた泥がこびりついているような心理描写にしても、物語全体が暗い未来しか示していないように錯覚していました。隠されていた出来事が明るみに出るごとに、私の気分も沈んでいきましたよ。


でも、これも先入観だったのかな〜。一度見方を固定してしまうと、それ以外に見えなくなってしまうラットマンのイラストみたく。見事に騙されて、救いのないどろどろの結末以外、脳裏に浮かんできませんでしたから。
そんなわけで、終盤の流れは読めませんでした。どんでん返しを予想していたので、多少の予防線を自分の中で張っていたにも関わらずです。思った以上に雰囲気に流されて、先行きを勝手に決めてしまっていたようで。勘違いは歯車が狂い始める最初の第一歩なので気をつけないと。


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